近代化産業遺産 総合リスト


 
建物紹介例
<写真がここに入ります。(下は例)> 現在の建物名称(昔の建物名称)
住所(移設の場合、旧所在地) 建築年代
構造/階層 設計者/施工者
文化財指定・顕彰(ある場合)/撮影日/所有状況/
使用状況(建造当時の用途)
建物説明。(文末に参考文献ナンバー)

熊本県阿蘇市編

孤風院(熊本工業高等学校図書閲覧室・講堂)
阿蘇市永草
(熊本市黒髪二丁目)
明治42年(1909)
木造/2階建 文部省建築課/不詳
/06.9/民間/住宅(教育施設)
 目立たないけど、目立つ建物。国道近くにあるのですが、恐らくただ通るだけでは一生たどり着くことが出来ないでしょう。かえって線路沿いに歩いてみると、田んぼのあぜ道から南側を見たらぽつんと異様な姿を突き出しているという、奇妙な位置に移設された作品です。
 もともとは旧制熊本工業高校の講堂として作られた施設ですが、建て替えの危機に瀕します。これを救い現地点に移設したのは、建築家の故木島安史氏でした。現在建物は改修を加えながらも、セミナーハウスなどの用途で断続的に用いられているようです。(34.)

JR阿蘇駅(同左)
阿蘇市黒川 昭和9年(1934)
木造/平屋建 不詳/不詳
/04.6/JR九州/交通施設(同左)
 玄関上部軒の部分など、なかなかの古さを醸し出していますが、どこか垢抜けている印象もあります。どこかウエスタンな雰囲気も。“ASO STATION”の表札効果でしょうか。
 現在軒に突き出しているルーパーは後年の増補でしょう。建造当初はもっと装飾を前面に打ち出していたのでしょうが、後年の補修からか、塗りつぶされてしまうなどして改装されています。
 和風のドーマーなどは用途に応じたものと考えられますが、デザインに統一感があるのかどうなのか。和洋折衷の建物という表現に尽きるでしょう。(34.) 

阿蘇市一の宮武道館(同左)
阿蘇市一の宮町宮地 昭和期
木造/平屋建 不詳/不詳
/06.9/民間/住宅(教育施設)
 国道沿いにある建物のため、どうしても気になる作品。屋根瓦の広々と覆っている様はなかなか見応えがあります。
 それに比べると、正面のたたずまいがあまりよろしくないように感じます。斗供が付けられていたり、車寄もあったりと武道館としての形式は整っているのですが、どうも威厳といったものに欠ける気も致します。あるいは昭和40年代頃の作品なのかもしれません。
 熊本のお国柄もあるのでしょうか、なぜか武道館という建物がよく似合うと思います。ただ、周りの建物がプレハブばかりなのも、どうもちぐはぐさに拍車をかけている気もします。

JR宮地駅(同左)
阿蘇市一の宮町宮地 昭和19年(1944)
木造/平屋建 不詳/不詳
/04.6/JR九州/交通施設(同左)
 大きな屋根を持つ駅舎建築。乗降客が多いからこのような規模を持つわけではなく、近隣に阿蘇神社を抱えていることから、現在見られる規模とデザインが決まったようです。
 九州には、戦時中の物資不足な時期になぜか改築される駅舎建築がいくつかあります。それらはだいたい決まって神社の最寄り駅である場合が多く、戦時下の「神頼み」的な動きをここから読み取ることが出来そうです。こちらはいよいよ戦争末期の作品ではありますが、だからといってぞんざいな造りになっているわけではありません。ここが近代の真骨頂と言えるでしょう。


戻る