近代化産業遺産 総合リスト


 
建物紹介例
<写真がここに入ります。(下は例)> 現在の建物名称(昔の建物名称)
住所(移設の場合、旧所在地) 建築年代
構造/階層 設計者/施工者
文化財指定・顕彰(ある場合)/撮影日/所有状況/
使用状況(建造当時の用途)
建物説明。(文末に参考文献ナンバー)

広島県江田島市編

海上自衛隊幹部候補生学校教官室(海軍兵学校生徒館)
江田島市江田島町国有地 明治28年(1893年)
煉瓦造/2階建 J.ダイアック/不詳
/04.7/国/教育施設(同左)
 日本でもっとも壮麗な煉瓦造建造物のひとつ。長大な煉瓦造建築としては東京駅を想像する方も多いかとは思いますが、こちらは建物裏面の列柱群をしっかと印象づけ、江田島にこの建物あり、と私たちを感動させます。
 何よりも恐るべきことは、これほどのすばらしい建築物が何の文化財指定・登録もなされていないことです。国の、しかも教育施設であることが、その価値とはほとんど関係なく、取り壊しの危機をはらんでいることは、国立大学はじめ多くの施設でしばしば見られる現状です。(a.)

ユウホウ能美工場(朝日紡績能美分工場)
江田島市大柿町大君 明治30〜32年(1899)
木造/2階建 不詳/大林組
/04.7/ユウホウ/工場施設(同左)
 江田島へ続く国道の沿線に突如別世界が広がります。建物ひとつひとつを見ると学校建築のようにも見えましたが、それにしては数が多く、密集しています。看板を見ると工場施設とのこと。帰ってから情報を調べるにつれ、その全容が分かってきました。
 当時海運交通の要衝であったこの地に作られた国内屈指の古さを持つ工場。一時は軍需産業にも使われたこともあるようです。江田島に行くついでに寄ってみたい施設、、と言いたいところですが、現役工場のため、慎んだ方がよいようです。(ユウホウWebサイト.大林組百年史.) 

海上自衛隊第一術科学校大講堂(海軍兵学校大講堂)
江田島市江田島町国有地 大正6年(1917年)
石・煉瓦・鉄骨造/2階建 能村知二(海軍技師) /
呉海軍経理部建築科
/04.7/国/教育施設(同左)
 玄関をふたつ持ち、車寄のある部分が正門で、高官や貴賓の方々のみここを出入りすることができます。裏側の通用門は生徒などが出入りし、その外観は大阪市中央公会堂を思わせるスタイルをしています。これは鹿児島市公会堂など当時のホールの設計的「流行」と言うこともできますが、詳しいことは研究の手にゆだねたいと思います。
 瀬戸内海産の御影石で作られた、優美な建築物です。このような西海の小島で見られるものと思えない不思議さが私たちを包みます。(a.)

海上自衛隊第一術科学校教育参考館(海軍兵学校教育参考館)
江田島市江田島町国有地 昭和11年(1936年)
鉄筋コンクリート造/2階建 山下寿郎/不詳
/04.7/国/教育施設(同左)
 威厳を持たせるため、エンタシスの柱を正面に持ち、ギリシアの神殿を思わせる建物。内部には、聖廟のような空間があり、ネルソン提督、東郷平八郎元帥、山本五十六元帥の遺髪が納められているそうです。あるマンガでは、「そこにあると思うことが重要なのだ」と、この説について見解を述べています。自らの信念に対する心の持ちようといったものをこの建物では学ぶことができるのでしょう。確かに教育のための建物だと言えます。
 正面玄関を差し引くと、外観はモダニズム建築の流れを受けた建物だと言えます。このギャップも非常に興味深いです。(a.) 

海上自衛隊第一術科学校本部庁舎(海軍兵学校江田島校舎)
江田島市江田島町国有地 昭和16年(1941)
鉄筋コンクリート造/2階建 不詳/鹿島組
/04.7/国/教育施設(同左)
 江田島に遺る近代建築群は、その数や質において他の著名な教育機関に負けることのないすばらしさを誇っています。ここでは一般的な見学コースに沿って建物群を紹介(というより、それしか見学できていない)していますが、この他にも非常に興味深い建築物がまだまだ沢山、大切に保存されています。できることならば一度見学いたしたいと心から切望しますが、立場もつてもない私には難しいことでしょう。
 この建物は現役学生が頻繁に用いている施設のため、当然見学できませんでした。あぁ、一度でいいから見てみたい。(a.鹿島建設百三十年史.) 

特殊潜航艇(同左)
江田島市江田島町国有地 昭和期
海軍伊号型潜水艦搭載特殊鑑 不詳/不詳
/04.7/国/静態保存(潜水艦)
 太平洋戦争の端緒となった真珠湾奇襲の際、用いられた特殊潜航艇のひとつ。通常は潜水艦の中に格納され、有事の艦艇攻撃の際にたった2名の乗員が乗り込み、文字通り決死の艦船雷撃へと赴きました。
 この艦艇は昭和35年に真珠湾港外1マイルの地点に発見されたものです。果たしてこの艦艇が魚雷を発射したのかどうか、艦艇頭部が切断された状態で受領されたため、真相は歴史の彼方に包まれています。(現地プレート.)

海上自衛隊第一術科学校広報展示室(不詳)
江田島市江田島町国有地 昭和戦後期
木造/2階建 不詳/不詳
/04.7/国/教育施設(同左)
 木造で、軍関係の建築に特徴的な窓同士を一体化させる筋目がしっかりと描かれており、他の建物との調和がとれている建物のひとつ。一般的な見学コースの場合、まずここで見学時間までの一時を紹介ビデオの鑑賞などで過ごすことになります。
 他に強烈な印象を持つ、美しい建物があるため、印象に残りにくいという難点がありますが、決して悪い造りではありません。現在でも見学係の控え室としても使われており、古き良き教育機関の建物という雰囲気がそこかしこに残っています。(a.投稿情報.) 


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