近代化産業遺産 総合リスト


 
建物紹介例
<写真がここに入ります。(下は例)>JR江津駅 現在の建物名称(昔の建物名称)
住所(移設の場合、旧所在地) 建築年代
構造/階層 設計者/施工者
文化財指定・顕彰(ある場合)/撮影日/所有状況/
使用状況(建造当時の用途)
建物説明(文末に参考文献ナンバー)

島根県江津市編

旧郷田郵便取扱所(同左)
江津市江津町 明治20年(1887)
木造/2階建 豊田藤太郎(大工)
/06.12/民間/住居(行政施設)
 ヴェランダを配置し、その天井は網代構造。しかも角部には石まで配置されています。これだけの擬洋風建築が島根のこの場所にあること自体、何とも信じられません。あまりにも典型的なそのたたずまいの確かさは奇跡といっても良いでしょう。
 江津本町の街並みは、津和野と比肩するくらい落ち着いたもので、水路の張り巡らし方と喧噪の少なさでは、こちらの方が上ともいえるでしょう(もっとも商業化されていないので、観光地とはいえませんが)。そんな町中では異色ともいえる施設です。建築好きには、これだけでも見る価値はあるかと。(37.)

郷川橋梁(同左)
江津市江津町−渡津町 大正7年(1920)
鉄骨造ワーレントラス橋 鉄道院/東京石川島造船所、汽車製造、横河橋梁、大阪鉄工所
/06.10/JR西日本/交通施設(同左)
 江の川に掛かる橋梁。大正期の橋梁としては、若干時代錯誤的要素もあるようには感じますが、よくある一級河川にかかる近代の橋梁といえます。
 近代化遺産報告書では大正9年の竣工としていますが、ここでは歴史的鋼橋収攬の記述に依りたいと思います。基礎の橋脚部分には鉄筋コンクリートが使用されており、島根県におけるコンクリート材使用の初期事例として貴重ではないでしょうか。(d.37.)

旧江津町役場(同左)
江津市江津町 大正15年(1926)
鉄筋コンクリート造/2階建 不詳/田中建設(神戸市)
/06.12/江津市/不明(行政施設)
 神社の境内に唐突に位置する建物。のっぺりとした外観と凹凸を効かせた軒部分が印象的です。この建物は、江津の町の中心がかつてこの周辺にあったことを示す行政施設、町役場だったのです。
 スタイルは様式建築っぽいですが、玄関(後年改修されているようですが)の配置と装飾性の薄さから、何とはなしにちぐはぐとした雰囲気を感じさせます。地方都市が洋風というものを受容した過程を近隣にある旧郵便局の建物とともに思わせる、示唆深い作品といえます。(37.)

旧矢上銀行江津支店(同左)
江津市江津町玉江 昭和4年(1929)
木造/2階建 不詳/不詳
/06.12/民間/商業施設(金融機関)
 橋梁の直下に位置しており、何でこんなところに銀行があるのかと疑問に思ってしまうような位置関係にある建物。旧市街地である江津本町と現在の市街地とをつなぐ重要な幹線であることがわかれば、納得がいきます。一見煉瓦造のようにも見えますが、木造2階建の建物です。
 戦後銀行が移転してからは、地域の商工会議所、のち江の川高校の女子寮と変遷を重ね、現在の所有者に至っています。その使用のされ方にも一癖ある、なかなかおもしろい建物だといえるでしょう。(37.)


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