今治市の市制施行を記念して作られたサイレン設備。お城の片隅にあるため、当時の人々にはなじみやすい施設だったことと思われます。現在は使用されていないようで、多少朽ちてしまった印象があります。お城を訪れるひとも少なくなると、音も鳴らないこの設備を顧みる人も少ないでしょう。
定時法(毎日決まった時間が12時、1時と呼ばれる)という概念は近代に入り西洋から導入されたもので、江戸期までは不定時法(日出から日没までの時間を六等分し、現時間を表現する方法)を採用していました。一年の中で決まった時間というものを人々はそれまで体感する日の長さ(或いはお寺の鐘)によって考えていたので、時報塔というものは時代の変化を表すエポックとなった施設と言えます。(17.) |