近代化産業遺産 総合リスト


 
建物紹介例
<写真がここに入ります。(下は例)>かつての長崎刑務所アプローチ 現在の建物名称(昔の建物名称)
住所(移設の場合、旧所在地) 建築年代
構造/階層 設計者/施工者
文化財指定・顕彰(ある場合)/撮影日/所有状況/
使用状況(建造当時の用途)
建物説明(文末に参考文献ナンバー)

長崎県諫早市編

旧長崎刑務所正門(同左)
諫早市野中町 明治40年(1907)
煉瓦造 山下啓次郎/不詳
/04.2/民間/放置(行政施設)
 西洋の宮殿に続く城門を思わせるアプローチの先には、やはり煉瓦造りの事務所。素晴らしい光景に思えますが、ここは刑務所跡地。江戸時代の刑務所体制を西洋諸国から批判された明治政府が威信をかけて作った五大監獄の内のひとつですから、当然といえば当然でしょう。設計者はジャズピアニスト山下洋輔の祖父に当たります。
 先日「解体前最後の一般公開」と言われた見学会に赴きましたが、ここでは一般公開開催時の写真ではなく平成16年時点での写真を掲載しています。(18.)

旧長崎刑務所事務所棟(同左)
諫早市野中町 明治40年(1907)
煉瓦造/2階建 山下啓次郎/不詳
/04.2/民間/放置(行政施設)
 尖り屋根の正面プロポーションといい、ちょっと不思議な千鳥破風のドーマーといい、軒下部分に丁寧に施されたディンティルといい、質量とも日本最高格の近代化遺産であることは間違いありません。
 庁舎の敷地は東西200m、南北220mに及び、敷地面積は56000uと都市部にありながら実に広大です。各箇所には、煉瓦構造物がこれでもかというくらい配置され、さらにその煉瓦の保存状態は、15年の放置が信じられないくらい良好です。それだけに、一部だけでも保存できれば、と願ってやみません。国から払い下げを受けた所有者次第なのですが、、、何とかなりませんか、本当に。(18.)

旧長崎刑務所外壁(同左)
諫早市野中町 明治40年(1907)
煉瓦造擁壁 山下啓次郎/不詳
/04.2/民間/放置(行政施設)
 刑務所の煉瓦壁ということで、通常の工場施設や行政機関の施設よりもずいぶん高く築かれています。「誰かが内側から逃げたり、外側から勝手に入ってこられない様にする」ために作られていますから、当然といえば当然ですが。かつてはこの壁が建物群の周囲約800mを包んでおり壮観でした。この壁だけでも十分文化財的価値はありましたが、残念ながらもうこの姿を見ることは出来ません。
 この写真、私が真にとりたい部分がおわかりになるでしょうか? 実は水路部分に施されたアーチ構造に着目し撮った写真です。それだけ基礎をしっかりとする必要でもあったのでしょうか。(18.)

十八銀行諫早支店(諫早銀行本店)
諫早市本町 昭和6年(1931)
鉄筋コンクリート造/2階建 清水組/清水組
/04.2/十八銀行/金融機関(同左)
 重厚な銀行建築。かつては本当に地方都市には必ずひとつはあったであろう、様式建築に則った銀行建築ですが、近年は建物への愛着より経済性が重要視され、あっという間に稀少な存在となってしまいました。
 軒飾りや玄関丈夫の簡素化されたペディメントなど、仕上げが丁寧な分、アーケードがかかっていることが残念でなりません。幸い角地にあるため、うまく車の通過時間帯を考えれば、このように全体景を収めることが出来ます。(a.18.)

JR諫早駅(同左)
諫早市永昌町 昭和9年(1934)
木造/平屋建 不詳/不詳
/07.5/JR九州/交通施設(同左)
 造形があまりにも斬新で、遠目から見るだけでは、最近出来た近代建築のまねをしただけの駅舎にも見えてしまいます。しかし、実際改札を抜けて柱の一本一歩に丁寧に施された装飾を見ると、近年の造作では決してやるはずもない作り手こだわりを感じさせる、なかなかの名駅舎です。もし、これが復元作品ならば、JR九州にひれ伏すほかありません。
 簡素化した幾何模様がデザイン上のベースになっています。これについては、アールデコの影響が考えられます。建築好きならば一度は訪れたい、素晴らしい作品です。(a.18.)


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