熊本駅は現在でもかなりの敷地を持っており、その中には煉瓦造の車庫や転車台、またはこのような貯水槽が遺っていました。現在そのうち車庫は取り壊されてしまい、貯水槽は敷地の橋で少し淋しそうに見えます。たたずまいは実に古びを帯びており、とくにかつて蒸気機関車が頻繁に行き交っていたことを表す煤の跡などは、駅舎の歴史をそのままに物語る重要な「汚れ」です。
現在熊本駅は九州新幹線の開業に向け、またほぼ同時に行われている高架化事業に向けスクラップアンドビルドが激しく行われています。この施設は大丈夫かな、と思っていたところいつの間にか取り壊されてしまいました。跡地利用も大事でしょうが、駅の歴史を語ることも大切なのでは、と苦言を呈したくなります。(34.) |