近代化産業遺産 総合リスト


 
建物紹介例
<写真がここに入ります。(下は例)>夏目漱石さん 現在の建物名称(昔の建物名称)
住所(移設の場合、旧所在地) 建築年代
構造/階層 設計者/施工者
文化財指定・顕彰(ある場合)/撮影日/所有状況/
使用状況(建造当時の用途)
建物説明をくどくどと。(文末に参考文献ナンバー)

熊本県熊本市(熊本大学)編

熊本大学正門(同左)
熊本市黒髪二丁目 明治22年(1889年)頃
煉瓦造校門 山口半六・久留正道/文部省
国指定重要文化財/04.6/熊本大学/校門(同左)
 正門を見るとその大学のたたずまいが想像できると思います。熊本大学では、、もう見たまんまでした。黒髪キャンパスは道路を挟んで大きく北と南の地区に分けられますが、この正門がある黒髪北地区は、見ての通り緑濃きゆとりあるキャンパス配置でした。
 煉瓦と石の派手なボーダーばかりに目がいきがちですが、床面のタイルにも注意を払うと、その対比が趣深い事に気がつくでしょう。床面は普通石で処理しがちなのですが、ここはさすがというべきですね。(34.) 

熊本大学五高記念館(第五高等中学校本校)
熊本市黒髪二丁目 明治22年(1889年)
煉瓦造/2階建 山口半六・久留正道/文部省
国指定重要文化財/04.6/熊本大学/資料館(事務施設)
 キャンパスの特徴である十分すぎる緑に包まれながらも、独自の気品を周囲に見せつけている点で、非常に力強い作品といえます。設計者山口半六氏の特徴として車寄せがない事という方がいらっしゃいますが、なるほどこの建物はその特徴が威厳性を高める事に十分貢献しているように感じます。玄関部分の凹凸のなさはそのまま2階部分まで伸び、なるほど、2階部分まで含めて車寄せとして構成してあるのか、それゆえにこの威厳があるのかと私たちに納得させます。
 公共機関には珍しく、この建物は土休日のみの公開となっています。見学の際はご注意ください。(34.) 

熊本大学化学実験場(第五高等中学校化学教室)
熊本市黒髪二丁目 明治22年(1889年)
煉瓦造/平屋建 山口半六・久留正道/文部省
国指定重要文化財/04.6/熊本大学/研究施設(同左)
 大学内にあって過剰なまでの煙突が、この施設が実験施設であることを現在に物語っています。迫石と煉瓦の対比が織りなす美しさはいうまでもないですが、写真の反対側に広がる木製の庇にも美学を感じさせます。
 不思議な事に同年代に造られ、しかもかなり特徴的であるにもかかわらずこの建物は他の施設群と違って文化財指定されておりません。おそらくは現役施設として用い続けるためには文化財の保護管理規定が障害になったのかもしれません。(34.) 

熊本大学政策創造研究センター(熊本高等工業学校書庫)
熊本市黒髪二丁目 明治期?
煉瓦造/2階建 文部省建築課/不詳
/04.6/熊本大学/不明(事務施設)
 自動車通用門に近接している倉庫建築で、書庫として用いられていたようです。この建物の裏側に重要文化財建造物があるため、結果的に余り目立たない作品になっていますが、表通りから直接見える赤煉瓦建築はこれくらいのものなので、名前は知らないけれどよく目にするという人は多いかと思います。
 いかにも書庫らしい防火処置済みの鎧戸は、赤煉瓦の美しさをひときわ際だたせています。この度、シンクタンク施設として活用されたとのこと。その英断に拍手。(34.)

熊本大学化学実験場倉庫(第五高等中学校化学教室倉庫)
熊本市黒髪二丁目 明治期
煉瓦造/平屋建 不詳/不詳
/07.7/熊本大学/教育施設(同左)
 化学教室のちょうど裏手に位置しており、ふつうに考えると油屋薬品庫などの危険物庫と考えるのが妥当でしょう。ただし、扉がふつうのアルミ製に取り替えられており、これで危険物を置くとなると私は怖くて立ち寄りたくないです(笑)。屋根瓦は当初ちゃんとした本瓦だったと思われますが、セメント瓦に葺き替えられています。
 倉庫の三方を建物に取り囲まれており、化学教室を一周する形でないとこの建物を見ることは出来ないでしょう。そこまでしてみる必要はない、と言われかねませんが、せっかく大学構内を見学されるのであれば、ここまで見ておくのも悪くないと思います。

熊本大学工学部研究資料館(熊本高等工業学校機械実験工場)
熊本市黒髪二丁目 明治42年(1909年)
煉瓦造/平屋建 文部省建築課/不詳
国指定重要文化財/04.6/熊本大学/資料館(研究施設)
 その建物は古くからここにあるという事を教えるかのごとく、周辺はみどりに包まれていました。この建物のポイントは、建物のみならず、中で展示されている工業機械もそれぞれ文化財指定されている事です。中をのぞいてみますと、確かに古色ゆかしき工場の中に機械群が陳列してあります。是非一度入ってみたい建物のひとつです。
 工場施設らしく天井高は高く、窓も広めにとられており、教育施設とはいえ決して手は抜かれていません。ただこれだけ周囲に緑が広がってしまうと、当時の感覚で言えば照明がないと作業は難しいかもしれません。(34.)

熊本大学本部事務局(旧熊本高等工業学校本館)
熊本市黒髪二丁目 大正14年(1925年)
鉄筋コンクリート造/3階建 長岡勇衛/不詳
国登録有形文化財/04.6/熊本大学/事務施設(同左)
 大学に残る赤煉瓦建築群とは一線を画した姿は、ある種すがすがしいものを感じます。事務所建築に見られがちの内部改造はそれほど見られず、シャンデリアひとつをとっても旧制工業高校の手堅さと伸びやかさが見られるように感じます。
 手堅さという点では外装にはその特徴がよく見られますが、白く象られた水平のライン、そして車寄せ部分などには五高記念館へのオマージュを感じる部分も見られます。なかなか愛らしい作品であり、そういった点では大学施設のくびきからは少し離れた位置にある作品といえるのではないでしょうか。(34.)

熊本大学埋蔵文化財センター(旧熊本高等工業学校図書分室)
熊本市黒髪二丁目 大正14年(1925年)
鉄筋コンクリート/2階建 長岡勇衛/不詳
/04.6/熊本大学/研究施設(同左)
 灰色の外壁と直線、半円アーチ文様の白線は、一種のストイックささえ感じる美しさを覚えます。写真右側にある(本部事務局写真参照)本部との類似性はもはやいうまでもないでしょう。本部が持つエッセンスを概略するとこのような建築物になるのかもしれません。
 現在よく造られる建物の造りと比較すると、多少中途半端な面積である事は否めません。天井高があるため全く使い物にならないという悲劇からは免れているものの、用途は転々としているようです。平成16年現在は埋蔵文化財センターとして用いられていました。(34.)

熊本大学医学部山崎記念館(旧熊本医科大学図書館)
熊本市本荘一丁目 昭和6年(1931)
鉄筋コンクリート造/2階建 武田五一/清水組
国登録有形文化財/08.3/熊本大学/教育施設(同左)
 京大伝統派のひとり武田五一による佳作。モダニズムと国立施設の格調とを並立させながら、地域に根付く医療の伝統を伝える施設(それでも熊本では比較的新しい施設になりますね)のひとつとなっています。隣接する古木との対照的な姿(曳家に併せて同時に移設しました)が印象的です。
 2006年にキャンパス整備に伴って90m曳家されました。文化財保存の一形態として、近年度々用いられる手法のひとつですが、まさか九州で行われるとは、とびっくりした次第です。(33.55.) 

熊本大学教職員組合(開校五十周年記念会館)
熊本市黒髪二丁目 昭和10年代
木造/2階建 不詳/不詳
/04.6/熊本大学/事務施設(研究施設?)
 黒髪キャンパスの北端に配置され、しかも管理も行き届いていない建物のため、見に行こうとする人は希有でしょう。しかしプレーンな外観の割に、どこかアンバランスさをにおわせる色遣いは、なかなか興味をそそられます。わざわざ車寄せを設ける所もポイントです。
 現在こちらの表側は使用されて居らず、裏側を教職員組合が入居している模様。出入り口も裏側に新たに設けているため、表側のうら寂しい感じがますます酷くなっています。この建物に関しては、阪東さんの投稿で正式名称が判明いたしました。ご協力感謝申し上げます。(投稿情報.)


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