街角の小規模製菓工場。しかし私はかつてこれほどにまで作り込まれた菓子工場を見たことがありません。首都圏の事務ビルならば、これくらいのものもあるでしょうが、ここは四国の地方都市。構造上階高を変えざるを得なかった部分を逆手にとって、窓の大きさを変えてリズミカルな演出を行っているところにも感心しますし、デザインの目的しか果たさない腰屋根(というより、庇)の瓦には、設計者の愛情をも感じてしまいます。『香川県の近代化遺産』によると、元は別用途で使われていた施設とのこと。なんとなく理解は出来ますね。
和菓子の店舗としては市内でもかなり有名な店だとのこと。名店には必ず何らかのこだわりがあると思いますが、なるほど建物を見ればそれがよく分かります。昭和期の洋風意識を上手く昇華した、名建築であると断言します。(51.) |