近代化産業遺産 総合リスト


 
建物紹介例
<写真がここに入ります。(下は例)>白川水源 現在の建物名称(昔の建物名称)
住所(移設の場合、旧所在地) 建築年代
構造/階層 設計者/施工者
文化財指定・顕彰(ある場合)/撮影日/所有状況/
使用状況(建造当時の用途)
建物説明。(文末に参考文献ナンバー)

熊本県阿蘇郡南阿蘇村編

九州電力黒川第一発電所(同左)
南阿蘇村大字立野 大正3年(1914)
鉄筋コンクリート造/平屋建 糸山隼太郎/菱刈組
/05.12/九州電力/エネルギー施設(同左)
 見方によっては古くも新しくも見える、コンクリート造発電所。窓配置や柱の出方を見るとなかなか風情があるように見えますが、一番の見せ所は軒下に出っ張っているコーベル(軒飾り)でしょう。これを洋風建築からのものと見るか、木造建築の持ち送りから派生したものか。同行し見学した各人の中でも意見が分かれていますが、私は前者の説を支持したいと思います。
 熊本電燈株式会社が熊本県で最初の本格的水力発電所として建設し、現役の施設として使用されています。これだけを見に来る事はないかと思いますが、スイッチバック見学のついでにどうぞ。(34.)

京都大学地球熱学研究施設・火山研究センター(京都帝国大学火山研究施設)
南阿蘇村大字河陽 昭和3年(1928)
鉄筋コンクリート造/
6階建(地下1階)
永瀬狂三?/森本組
/05.5/京都大学/教育施設(同左)
 九州のアインシュタイン塔といわれる画期的建築。研究所の設置自体は京都大学が世界的な設置の薦めを受け造った施設で、ドイツ表現主義の傑作たる「アインシュタイン塔」との類似性が高い施設です。ドイツとのつながりから武田五一の関与も考えられ、見れば見るほどその造形は不可解であり、前衛的でもあります。
 大自然の中に屹立する姿は、人類の自然への挑戦心とも受け取れます。阿蘇の雄大さにふさわしい、名建築です。(34.)

京都大学地球熱学研究施設・付設建物(同左)
南阿蘇村大字河陽 昭和初期
木造/平屋建 不詳/不詳
/05.5/京都大学/教育施設(同左)
 データもなければ、現用途も分かりません。そうなると敢えて載せる必要性もないように思えてしまいますが、よくよく見てみると、窓の形状は古めかしさを持っており、板張りの外壁も丁寧に見えます。一見さんとはいえ全く紹介しないのも失礼に当たるかな、などと考えこちらに写真を載せることにしました。
 周囲の緑とは一線を画したこの壁の白さは何の意図あってのものでしょうか。自然とは相容れない表情に見えて、気高い白さのみが印象に残ります。この白さのみで気になる建築として、こちらに載せたのかもしれません。

南阿蘇鉄道立野橋梁(国鉄高森線立野橋梁)
南阿蘇村大字立野 昭和3年(1928)
鉄鋼PGトレッスル橋 鉄道省大臣官房研究所/直轄
/05.12/南阿蘇鉄道/交通施設(同左)
 汽車を覆う側壁もなければトラスも付いてない。何とも危なっかしい橋梁ではありますが、これぞトレッスル橋といわれる形式なのです。このタイプの有名なものに餘部鉄橋がありますね。基本的にはプレートガーターを繋げた構造ですので、かなり華奢です。
 餘部橋梁が架け替えられてしまうと、この橋梁の重要性は増すばかりです。この自然の中に屹立する生命力の赤さ、高低差をカバーする橋梁技術の、まさに生きる証人として、これからも大切にされることを切に願います。(34.)


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