南大東島は1900年より私企業・玉置商会によって開拓した民間所有の島で、戦後に至るまで村政も施行されなかった、自治権のない島でした。そのような島ですから、開拓当初あった自然もプランテーションによるさとうきびの大規模栽培によってどんどん失われ、大正期には自然環境の再構築は生活を営む上で至上命題となりました。
大正期当時島を所有していた東洋製糖の製糖所所長であった江崎龍雄はこのような現状を危惧し、住民を交えての積極的な植林事業に乗り出しました。その成果もあって現在、南大東の緑は豊かによみがえり、それを記念して出来た碑文が建てられました。
この碑文には、東洋製糖のオーナーであった藤山雷太が揮毫しており、当時の南大東島が抱えていた問題の深刻さと人々の努力とが同時に読み取れます。現地に行き、緑に包まれた神社境内にあるこの碑文を読むと感慨もひとしおでしょう。(66.) |