近代化産業遺産 総合リスト


 
建物紹介例
<写真がここに入ります。(下は例)> 現在の建物名称(昔の建物名称)
住所(移設の場合、旧所在地) 建築年代
構造/階層 設計者/施工者
文化財指定・顕彰(ある場合)/撮影日/所有状況/
使用状況(建造当時の用途)
建物説明をくどくどと。(文末に参考文献ナンバー)

熊本県宇城市(旧三角町)編

旧高田回漕店(同左)
宇城市三角町三角浦 明治19年(1886年)
木造/2階建 不詳/不詳
町指定有形文化財/04.4/三角町/静態保存(店舗)
 三角西港の栄光を今に伝えるべく、現地保存されている商店建築。洋風建築が多く保存されている中である種独特なものとも感じさせますが、明治期の港湾建築といえばこちらのタイプが主流を占めているはずですから、この建物の保存価値は確かなものがあるようです。願わくばもう数件建物が復元されるといいのですが。
 この港が観光地として有名になるにつれ、観光地としての側面が強くなり、洋風建築が幅をきかせているように感じます。当時の雰囲気を伝えることに観光地の重点が置かれれば、町のたたずまいもずいぶん変わるのではないでしょうか。(34.) 

三角西港(同左)
宇城市三角町三角浦 明治20年(1887年)
石造築港 ムルドル/ムルドル
国指定重要文化財・選奨土木遺産/04.4/不詳/港湾(同左)
 訪れたのは、連休中だったということもあったかとは思うのですが、喧噪に包まれた中にあっても古さを感じさせない、自然な美しさを保った造形を感じさせます。現役の港湾であることを思い出すとなおさら感銘を受けてしまいます。
 近代的な港湾施設が持つ、角張った大規模構造物が織りなす前衛芸術的な美しさとは全く異なった、人工物であるにもかかわらずどこか自然を感じる造形美は、無理のない構造によるものであり、設計者の慧眼を思わせます。(34.)

三角築港記念館(旧三角海運倉庫)
宇城市三角町三角浦 明治20年(1887年)
土蔵造/2階建 不詳/不詳
国登録有形文化財/04.4/三角町/展示施設(倉庫)
 江戸と明治の歴史をつなげる大切な建物であり、三角の歴史風景を今に伝える活用例ともなっている作品です。内部は飲食施設及び物販施設として用いられていますが、これは倉庫の活用の際もっともよく用いられている手法で、観光化が著しい三角西港一帯にあってまずは定石と言った印象を与えます。
 往時はこのような倉庫群が立ち並んでいたであろう三角港も今や観光地。その中で往時の繁栄を静かに伝えようとしている姿はけなげに思えます。(34.) 

九州海技学院(旧宇土郡役所)
宇城市三角町三角浦 明治35年(1902年)
木造/平屋建 不詳/不詳
/04.4/三角町/教育施設(事務施設)
 港湾部から少し離れた高台に位置しており、行政施設としての威厳性を今に伝える建物です。石造風の意匠を窓周りに残しているのは、明治時代地方建築の特色のひとつといえます。設計者は残念ながら詳しく判っていませんが、洋風建築を上手く取り入れ、極端な不自然さの見られない、隙のない作品に仕上げられています。
 当初の郡役所から町役場、中学校など用途が変わり現在は技術学校として用いられています。威厳を保ったたたずまいは教育施設にふさわしいと感じるのは私だけでしょうか。(34.) 

龍驤館(同左)
宇城市三角町三角浦 大正8年(1919年)
木造/平屋建 不詳/不詳
国登録有形文化財/04.4/三角町/静態保存()
 黄土色の外観は従来の建物にないすがすがしさを覚えさせ、また塔屋部の2階窓下の意匠に明るさを感じさせる、おもしろい建物のひとつです。ハーフティンバーの意匠を持つ中で、海際に似合った軽さを備え、それに好感を覚えます。
 明治天皇即位50周年を記念して作られた施設で、存在自体は象徴的意味合いが強く、観光化がかなり進んだ周辺にあってこの施設だけは素知らぬ顔を向いている様にも見えます。そのギャップが又おもしろみを覚えさせます。(34.)

三角法の館(旧三角簡易裁判所)
宇城市三角町三角浦 大正9年(1920年)
木造/平屋建 不詳/不詳
/04.4/三角町/静態保存(事務施設)
 やはり三角港の反映を物語る重要な施設。海から背を向けていることは景観的には残念な所ですが、木材としての耐久性確保のためには仕方ない部分でもあります。海際に面した部分には煉瓦造の倉庫があり、建物に対する配慮を感じさせます。
 外装に関しては完全な和風建築ですが、内装のそれは洋風の香りをにおわせます。裁判を行う施設は外国から導入した手法による部分が多く、洋風なのは仕方ない事なのかもしれません。現在は裁判に関する展示教育施設として保存されています。(34.) 

JR三角駅(同左)
宇城市三角町三角浦 昭和13年(1938年)
木造/平屋建 不詳/不詳
/04.4/JR九州/駅(同左)
 戦後の2度にわたる改装によって、格式やデザインの統一性をあまり持たない建物ですが、内部の雰囲気はかろうじて昭和初期の名残を感じさせる近代建築です。アンバランスさを持たせる大きな要因のひとつは前にせり出した高架歩道橋にあります。これがあるゆえに、古い建物であることの必然性はなく、三角西港の存在さえ打ち消されてしまいます。
 三角西港の観光化を推し進めているのなら、まずは玄関口であるここから整備してもらいたかったです。このままでは雰囲気ぶちこわしです。(34.)


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