近代化産業遺産 総合リスト


 
建物紹介例
<写真がここに入ります。(下は例)>吉良川の街並み 現在の建物名称(昔の建物名称)
住所(移設の場合、旧所在地) 建築年代
構造/階層 設計者/施工者
文化財指定・顕彰(ある場合)/撮影日/所有状況/
使用状況(建造当時の用途)
建物説明。(文末に参考文献ナンバー)

高知県室戸市編

室戸岬灯台(同左)
室戸市室戸岬町 明治32年(1899)
鉄骨造灯台 不詳/不詳
/05.10/国/交通施設(同左)
 四国最南端にそびえる灯台。国内二番目の古さを誇る鉄骨造の灯台としても貴重な存在です。年に一回公開されるそうですが、近場に住んでいない限りなかなか訪れることは難しい位置関係にあります。だからこそ、灯台として重要であるという言い方も出来ますが。
 私が訪れた時はちょうど夕方近くで、夕日に映える大振りの灯台の姿は、実に美しいものでした。壮大ですので、装飾こそ少なめですが、大自然に抱かれた白亜の灯台はなかなかの見応えがあります。一度見ることをお勧めします。(61.)

室戸岬灯台吏員退息所(同左)
室戸市室戸岬町 明治32年(1899)
石造/平屋建 不詳/不詳
/05.10/国/静態保存(交通施設)
 現在は棒瓦で葺いているようですが、元々はやはり和瓦だったことでしょう。軒の出が短く、また屋根勾配が低めなのは強風を意識してのことではないでしょうか。ここ室戸岬は、瞬間最大風速84.5m以上の驚異的な記録を持つ程風の強いところです。地域に併せて建物を造るという丁寧な設計は効率重視の近年では考慮されないことが多いです。
 柱の飾りにはコリント式の装飾がされるなど、細部にわたり様々な意匠も遺されているとのこと。報告書を読むと公開されている日を狙って室戸を訪れてみたくなりました。(61.)

熊懐邸(吉良川郵便局)
室戸市吉良川町 大正11年(1922)
木造/2階建 不詳/不詳
/05.10/民間/住居(公共施設)
 単体で見ると、何とも懐かしい郵便局と言えますが、この街並みは伝統的建造物群の中でもトップクラスに特殊な空間を持っているため、多少違和感を覚えてしまいます。
 高知の奥地にある吉良川地区ですが、海運の盛んな近代では室戸岬を超えた先にある絶好の休息場でした。また薪や炭の積出港としても有力な港として近代の社会基盤、西洋からもたらされた各種システムも比較的早くもたらされたのでしょう。この施設は伝建地区の栄光を今に伝える貴重な施設であると言えます。(61.) 

岬観光ホテル(同左)
室戸市室戸岬町 昭和初期
木造/2階建 不詳/不詳
/05.10/民間/商業施設(住居)
 元は有力者の別荘として建てられた施設が改装を受け、現在の姿になったものだそうです。はっきりとした年代こそ明らかになっていませんが、大方室戸台風襲来の昭和9年より前にはあったものと考えられています。
 戦後期の改装を受けており、窓周りにはかえって安っぽさを覚えてしまいますが、車寄の部分を見るとなるほど洋館の雰囲気を遺しています。なにぶん風の強いところですので、長く保存され続ける奇跡を願うばかりです。(61.) 

吉良川消防施設(同左)
室戸市吉良川町 昭和初期
木造/2階建 不詳/不詳
/05.10/民間/住居(公共施設)
 吉良川の街並みを歩いていると、民家の中にこのような建物があります。建物だけを見てもその用途を勘案することは難しいですが、半切妻の正面上部に堂々と掲げられているマークを見ると、何となく消防施設、或いは警察系の施設ではないかという見当を付けることが出来ます。訪れた後で報告書を読むと、なるほど消防施設であったようです。
 現在は民家として使用されているようで、当初の雰囲気を掴むことは若干難しいですが、一階部分に消防設備が格納されていたであろう雰囲気を掴むことが出来ます。

東ノ川橋(同左)
室戸市吉良川町 昭和11年(1936)
鉄筋コンクリート造橋梁 不詳/不詳
/05.10/室戸市/道路橋(同左)
 吉良川集落と外界とを遮断する河川を繋げる橋梁。いわば吉良川の玄関口と言えます。このような橋のタイプは、昔どこの地域にも見られていたにもかかわらず、近年その姿を急激に消しつつある、希少なタイプであるとも言えます。
 のどかな農村風景には、コンクリート剥き出しでちょっと意匠のついたこの橋がなぜか似合うと思うのは私だけでしょうか。どちらにせよノスタルジックを喚起させる橋梁だと思います。現在は住民の生活道路として使用され続けています。

旧吉良川劇場(同左)
室戸市吉良川町 昭和戦後期
木造/平屋建(一部2階建) 不詳/不詳
/05.10/民間/放置(余暇施設)
 丘の上にある大きな廃墟。かつては映画館として使用されていたとのこと。周囲の景観とともにここだけ時間が止まってしまったかのような外観には、驚きを禁じ得ません。四国の外れ、吉良川の持つ魔法がなせる業でしょうか。
 吉良川の繁栄を考える上で非常に重要な遺構であることは間違いないのですが、私が訪れた段階でこの有様。改修にもかなりの費用がかかることと思います。活用が出来れば、ビジターズインダストリーにも大きく結びつけられそうですが、、もう壊されていても不思議ではなさそうです。(61.)


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