近代化産業遺産 総合リスト
建物紹介例
<写真がここに入ります。(下は例)>
現在の建物名称(昔の建物名称)
住所(移設の場合、旧所在地)
建築年代
構造/階層
設計者/施工者
文化財指定・顕彰(ある場合)/撮影日/所有状況/
使用状況(建造当時の用途)
建物説明をくどくどと。(文末に参考文献ナンバー)
熊本県山鹿市・玉名市編
(山鹿市)
八千代座管理資料館「夢小蔵」(旧蔵)
山鹿市大字山鹿
明治20年(1887)
土蔵造/2階建
不詳/不詳
/05.8/山鹿市/静態保存(倉庫)
見て分かるとおり、蔵です。土蔵は移築技術も改装も日本では最も多く為されているためか、活用方法は各土地土地で特徴的、かつこなれています。ここでは八千代座の歴史を紹介しながら、歌舞伎の上演記録や映画の遍歴、地域の歴史などを同時に紹介しています。改修時に撮影されたビデオの上映なども行われ、建築好きにも楽しめるような施設です。
ただ、強調したいのは分かるのですが、板東玉三郎コーナーの展示があまりにもこってりしすぎていて、見学後少々食傷気味になってしまうのが、まさに玉に傷なところです。(34.)
旧鹿本鉄道菊池川橋梁(九州鉄道千歳川橋梁)
山鹿市鹿本町梶屋(佐賀県鳥栖市−福岡県久留米市)
明治23年(1890)
ポニープラットトラス鉄橋
ユニオン社/不詳
/05.8/山鹿市/静態保存(交通施設)
ワンスパンだけ遺されているトラス橋。ひとつ淋しく遺っている姿には淋しさを禁じ得ません。もとは九州鉄道(現在の鹿児島本線)千歳川橋梁の一部で、九州初の機関車が通った鉄橋でもあります。
鉄道国有化後、架け替えに伴い一部鹿本鉄道に下げ渡された鉄橋は、その後50年に亘り使用されたものの、鉄道廃業に伴い線路跡の自転車道に安置されていました。現在は道の駅内に再度移設され、このような遊歩道になりました。今後も九州の交通を静かに見守り続けます。(d.34.50.)
千代の園酒造(本田酒造)
山鹿市大字山鹿
明治29年(1896)
木造/2階建
不詳/不詳
/05.8/民間/醸造施設(同左)
元を辿れば江戸期から続く由緒ある蔵元。熊本県内でも数少ない赤酒を販売する施設でもありますが、建物も醸造施設含めかなりの年季を感じさせます。旨い酒には、このような歴史を感じる施設はつきものと言えましょう。
平成13年には隣接した蔵元に資料館を併設し、地元醸造業の歴史について無料で見学できるようになっています。良くある産業観光併設型施設ですが飾らない分だけ、人とのふれあいを感じさせ、好感が持てました。(34.千代の園酒造ホームページ.)
八千代座(同左)
山鹿市大字山鹿
明治43年(1910)
木造/2階建
木村亀太郎(大工)
国指定重要文化財/03.9/山鹿市/行政施設(余暇施設)
日本でも数少なくなってしまった芝居小屋建築。一時は映画館となり、またそれも廃業してからは活用の方策を探りながらも放置されていました。重要文化財指定により地域コミュニティ施設として、まさに現代に蘇りました。
山鹿を代表する2件の木造大規模建築のうち、利用頻度の高かった温泉本館は再開発によって取り壊され、廃墟同然であった芝居小屋が現在このような形で遺っているのは、何ともいい知れない歴史の皮肉を感じます。使われるからこそ遺される、という原則は必ずしも正しくないという事実をその存在で今に伝えます。(a.現地資料.)
山鹿灯籠民芸館(安田銀行山鹿支店)
山鹿市大字山鹿
大正14年(1925)
鉄筋コンクリート造/2階建
不詳/不詳
国登録有形文化財/05.8/山鹿市/展示施設(金融機関)
緩やかな空気を持つ山鹿が、かつて華やかだったことを象徴する施設。金融機関の特徴である様式建築の手法は、そこかしこに見られますが、どこかごてごてした印象を受けます。鉄筋コンクリート材を使いあぐねている施工のせいなのかどうかは、議論の分かれるところではあります。
裏側に増設された山鹿灯籠製作実演コーナーとともに灯籠紙細工の展示施設として使用されています。山鹿の歴史も展示されており、八千代座とセットに見学すれば、地域の歴史がよく分かります。(34.)
旧山鹿自動車学校(鹿本鉄道山鹿駅)
山鹿市大字山鹿
大正期?
木造/平屋建
不詳/不詳
/05.8/民間/放置(交通施設)
鉄道廃業後は自動車学校の施設として再活用された建物。しかし現在は学校も廃業の憂き目に遭い、現在は再々活用の日を待っている状態です。
たたずまいやいくつかの構造的特徴を外から見る限り、大正12年に山鹿駅が開業された当時の建物ではないかと推測します。横に長い建物構成といい、玄関からの広い敷地といい当時の雰囲気をそこかしこに留めています。ホームなども遺っているというのですが、敷地に入れないと何とも言いようがありません、、誰か入れてください。(34.)
菊池川流域情報交流会館・しびんちゃ館(千代の園酒造倉庫)
山鹿市大字山鹿
昭和初期
木造?/2階建
不詳/不詳
/05.8/行政団体/行政施設(商業施設?)
何とも情けない話ではありますが、過去情報が殆どありません。現地の人に聞いてみたのですが、その人も詳しく知らなかったため、現活用前段階の「千代の園倉庫」ということでここでは掲載しておきます(情報をお待ち申し上げます)。
現在は国土交通省・県・市の共同名義で設立した河川流域交流施設として大切に使われています。しびんちゃはコイ科の魚で、 "ニッポンバラタナゴ"をはじめタナゴ類の総称とのこと。今度足を運ぶときには、中の施設も見学したいと思います。
(玉名市)
熊本県立玉名高等学校(県立玉名中学校)
玉名市中
昭和12年(1937)
鉄筋コンクリート造/3階建
近藤良馬/不詳
国登録有形文化財/03.9/熊本県/教育施設(同左)
「白亜の殿堂」の名前に恥じることなく、実に美しくそびえ立つ学問の館。基調はモダニズムの香りを漂わせながらも、塔屋や玄関部分には縦線を強調する鋭い装飾が施され、校門のやわらかさとはある意味対照的です。丁寧に作り込まれた塔屋の崇高さは、ミッション系学校にもなかなか無いものだと思います。
創立百周年を期に保存に向けた大幅な改修が施され、これからも長く愛されるべく、創建時の美しさを取り戻しました。庭の緑と実に対照的で、画になる名建築です。(34.)
熊本県立玉名高等学校正門(県立玉名中学校正門)
玉名市中
昭和12年(1937)
鉄筋コンクリート造校門
不詳/不詳
国登録有形文化財/03.9/熊本県/教育施設(同左)
明治期から脈々と培われてきた様式建築を思わせるのは左右対称である所くらいのもので、角を角と感じさせないなめらかな曲線といい、通用門を形成する二重のアーチは、えもいわれぬ清純な色気を感じさせます。そのペンキの白さを以て、高等学校の正門であることを強調しています。
白いペンキの校舎構造物というものは、モダニズム建築では頻用されていますが、往々にして単調になりがちな欠点があります。機能美の追求からは当然のことですが、この作品は玄関を以てモダニズムを恒久的な美に昇華させた、素晴らしい成果だと言えます。(34.)
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