近代化産業遺産 総合リスト


 
建物紹介例
<写真がここに入ります。(下は例)>長崎街道・塩田宿(国選定伝統的建造物群保存地区) 現在の建物名称(昔の建物名称)
住所(移設の場合、旧所在地) 建築年代
構造/階層 設計者/施工者
文化財指定・顕彰(ある場合)/撮影日/所有状況/
使用状況(建造当時の用途)
建物説明をくどくどと。(文末に参考文献ナンバー)

佐賀県嬉野市編

(旧嬉野町)

古湯温泉(同左)
嬉野市嬉野町大字下宿 大正13年(1924)
木造/2階建
(一部地下、3階有)
ドイツ人技師?/不詳
2005年解体/04.11/嬉野町/用途未定(生活施設)
 当時地域では一番大きな建物だったことでしょう。当然そのような建物は周囲を圧倒する威圧感があるものと考えてしまいがちですが、この作品には、どこか人を和ませる何かがあるようで、地域のシンボルとして町内の各地にモチーフとしたデザインが作られています。
 作品のスタイルを見ると、「駅前高等温泉」に近似しており、設計者に何らかの関連性があるものと思われます。解体修理が行われると、分かることがいろいろあるのではないかと思ったのですが、、、2005年地震により大きな被害を受け、撤去。謎は遺されたままです(21.)

嬉野橋(同左)
嬉野市嬉野町大字下宿 昭和2年(1927)
鋼製ワーレントラス橋梁 不詳/不詳
/04.11/嬉野町/道路橋(同左)
 古湯温泉の隣にあるしっかりとした鉄橋。現在でもちゃんと道路橋として活用され、また古湯温泉の隣にあることで、観光にも一役買いそうな、そんな姿にあっぱれ、といいたい気持ちです。周囲の状況から見て、当分架け替えはない模様。
 鋼材のひとつひとつを何気なく見てみると、そこのひとつにありました。“NIPPON STEEL”のロゴとマルエスマーク。当時の最大手とはいえ、こんな所に歴史のひとかけらを見ることは、橋見学の楽しみのひとつといえます。(12.21.)

(旧塩田町)

瀬頭酒造主屋(同左)
嬉野市塩田町大字五町田 大正8年(1919年)
木造/2階建 喜多代吉(大工)
/04.11/民間/事務施設(同左)
 地域主要道路から田んぼを隔て、「東長」のブランドを見せつけながら、堂々たる威風を見せている酒蔵。その中心的建物は、全体としては和風のスタイルを保っているものの、窓配置は完全に洋風のそれに則ったものであり、これは立派な洋風建築のひとつであると言えるでしょう。年代は下っているものの、擬洋風建築の範疇に属していると言えます。
 こちらの酒造会社のお酒は飲んだことがないのですが、どうなのでしょうか。今度近くに寄った時には味わいたいと思います。(21.)

五町田酒造主屋洋館部(同左)
嬉野市塩田町大字五町田 大正10年(1921)頃
木造/2階建 不詳/不詳
/04.11/民間/住居(同左)
 古くからある酒造会社は、ある種家内産業に近い部分があるようで、だいたい会社の近くに家があります。ここもその例に漏れることなく、酒瓶の隣に家がある、といった状況です。2階建ての洋館部は、工場じみた隣とは似つかず、なかなかしっかり作られているようで、隣の日本間との組み合わせがとても美しく、それだけで立派な地域の財産となりうる作品です。
 増築部分に関しては、住居として今も使われていることのしるし。少々見劣りはしますが、これもある意味味のある姿ではないでしょうか。(21.) 

五町田酒造本蔵(同左)
嬉野市塩田町大字五町田 大正10年(1921)頃
木造/2階建 不詳/不詳
/04.11/民間/醸造施設(同左)
 瀬頭酒造の隣にあり、もともとは同族の経営であった酒造会社。その創業当初近くに建てられた蔵で、当然現在も現役の施設です。現在はそれぞれ独立した経営状態にありますが、親戚同士であることには変わりありません。
 ただ、全国的な知名度で勝る五町田酒造は実に小さく、最初その建物を探してぐるぐると同じ所を回っていてもなかなか分かりませんでした。訪れた建物は実に慎ましく、古く、そこから生み出される酒はまさに地域の風土が生み出した結晶なのでしょう。酒は建物のみにて作られるものにあらず。私自身への教訓です(笑)。(21.) 

長崎街道塩田宿建物(同左)
嬉野市塩田町大字馬場下甲 大正〜昭和初期
木造/2階建 不詳/不詳
/04.11/民間/住居(商店?)
 街道沿いに近代建築あり、とは大げさな言い方ですが、長崎街道を採り上げた各県の報告書では、街道沿いに多くの近代建築が残されていることが確認出来、あながち間違いではないことが裏付けされました。
 この建物も、近代和風と言うよりは、洋風のたたずまい。ここ辺りになるとどこまでが洋風建築なのか、とつっこみもあるかと思いますが、そこをああだこうだと話し合うことも、街道見学の楽しみになるかもしれませんね。

塩田町消防団第1分団第1部(警防団屯所)
嬉野市塩田町大字馬場下甲 昭和15年(1940)
木造/2階建 不詳/不詳
/04.11/塩田町?/生活施設(同左)
 1階部分だけを見ると、別に写真に撮るようなものは何ひとつないですが、この建物のインパクトの殆どは屋根にあるといえます。中央部に取り付けられたマンサード型の切妻は、赤い瓦屋根と実にマッチしており、瀟洒な洋風建築の趣さえ見られます。
 屋根部分に取り付けられたドーマーやオランダ切妻、更にこのようなマンサードなどは、その構造的特徴から雨漏りの原因になりやすく、屋根の改修時に外されることがかなりあります。そんな中で平成のこの時期までよくぞ残されたものだと感心してしまいます。願わくば、これからもこのままで。(現地碑文.) 


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